子どもを連れて利用できるコワーキングスペースの利用実態と空間構成に関する研究

現在、わが国では急激な少子高齢化が進んでいます。そのため、出生率の向上と労働力の確保が最大の課題であり、子どもを持つ共働き世帯への支援が必要になっています。しかし、保育園不足や待機児童問題、子育てと仕事の両立を支援する施策の不足により、女性にとって出産と仕事がトレードオフの関係になっており、働きたいのに出産と共に仕事を辞める女性が依然としている状態です。特に、子どもを持つフリーランスの女性は在宅勤務や勤務時間の短さで保育園入園の許可をもらうのが困難で仕事を続けるのが難しい状況にあります。

 

その中で、子育てと仕事を両立させたい女性の新たな働く場所として子どもを連れて利用できるコワーキングスペースが登場しつつあります。しかし、その施設数はまだ限られておりその知名度も高くありません。また、子どもを連れていることで、一般のコワーキングスペースとは利用者やその利用方法、空間構成、事業形態が大きく違い、その実態が把握されていない状況です。さらに、そのような施設を計画する際、子どものスペースと働くスペースをどのような距離感で配置するかなど考慮に入れるべき部分が多くあります。

 

そこで、本研究ではわが国に実際に展開されいてる子どもを連れて利用できるコワーキングスペースの実態を把握し、どのような属性の利用者がどのように利用しているか、そのニーズを明らかにします。その上で、子どもを連れて利用できるコワーキングスペースの多様な利用方法と利用者のニーズを考察し、建築計画上の新たな知見を提示することを目的としています。(M2 潮田紘樹)

 

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