Mission
“建築を通して社会に貢献する”
建築の設計は,利用者ニーズ,社会的制度,法規,予算,工期,デザインなど,複雑な方程式を解く創造的行為です.同じ敷地でも,設計者によって解は異なります.様々な建築が作られる現在,本来,何が良く,どのような課題が残ったのか,事後の十分な検証を経て次の設計に着手すべきところが十分になされていません.これでは,良質な社会的ストックとしての建築を次代に引き継ぐことは難しいでしょう.
人や社会に貢献,役立つよりよい建築,地域を創る.そのための理論的裏付けとなる計画的研究の推進と,研究から得た知見を実際の建築プロジェクトに適用し,生きた検証を重ねていく,研究と実践の両輪としての推進が当研究室のミッションです.
Profile
三浦 研(みうら けん)
京都大学大学院工学研究科 建築学専攻 建築環境計画学講座教授
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- 1970年生まれ
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- 1993年京都大学工学部建築学科卒業
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- 1997年日本学術振興会特別研究員
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- 1998年京都大学大学院工学研究科助手
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- 2005年大阪市立大学准教授
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- 2013年同教授
- 2016年現職
人の行動や心理にもとづく建築・施設設計・研究に取り組む
2018年度国土交通省スマートウェルネス住宅等推進モデル事業評価委員ほか、「グループハウスあまがさき」,「ニッケてとて加古川」「ニッケあすも市川」などの計画・設計にかかわる.著書に「小規模多機能ホーム読本」(ミネルヴァ書房)、「いきている長屋」(大阪公立大学共同出版会)ほか,訳書に「環境デザイン学入門」(鹿島出版会),
2004年日本建築学会 奨励賞、2012年住総研 研究選奨(共同)、2018年建築学会著作賞(共同),
岡山県倉敷市出身.千葉県立船橋高校卒業.建築学科への進学は高校一年生終わりまでを過ごした倉敷の街並みと建築(建築家・浦辺鎮太郎(京都大学OB)による)の影響.博士課程で出会った阪神淡路大震災後のケア付き仮設住宅,グループハウス尼崎の実践から,医療福祉施設に研究が広がる.
Research
“人の行動や心理と環境の結びつきの解明”
オー・ヘンリーの短編小説「最後の一葉」をご存じでしょうか.病床の少女が窓から見える蔦の葉に自分の命に重ね,最後の一枚が落ちた時に命が尽きると思いこみます.しかし,最後の一葉は奇跡的に暴風雨に耐え,少女は全快します.実はその葉は友人の画家が少女のために描いたものだったのです.私たちがこの小説に感動するのは,普段は意識しない人と環境の結びつきに私たちが共感するからにほかなりません.人と環境の深い結びつきは,あたりまえであればあるほど,普段は見過ごされてしまいます.しかし,私たちの研究室では,こうした人と環境の結びつきの解明にこそ新しい建築や地域を創造するヒントが隠されていると考えています.
私たちの研究室では,優れた(逆に課題となる)建築・環境・都市を研究対象として,フィールド調査,シミュレーション,計測,アンケート,ワークショップを行い,それらに共通する知見をまとめ,理論として発信します.また,得られた知見は,実際の建築プロジェクトに適用し,さらなる検証を加えることでブラッシュアップすることで,より望ましい建築を目指します.現在は以下のような研究に取り組んでいます.