ユニット型特養における共同生活室と居室の関係性

自治体の方針や考えと居住環境への影響

高齢者施設におけるユニット内の居住環境は,共同生活室と居室の関係性よって大きく左右されます.

 

既存のユニット型特養をみると,居室が共同生活室を取り囲んだいわゆるホール型と呼ばれる平面計画が多く見受けられます.ホール型は動線などをコンパクトにしやすいという考えがある一方,居室と共同生活室が直接的に面するため落ち着きのない居住空間となる可能性を多分に含んでいます.

 

平面計画には事業者と設計者,自治体担当課担当者の三者の意図が複合的に影響しています.特に共同生活室と居室の関係性については,各々がユニットケアや空間へどのような理解をしているかにより,施設間や地域間で大きな差異が生じていると推測されます.

 

既往の調査や研究では,事業者や設計者に比べ自治体担当課担当者が調査対象となることは少なく,それらの方針や考えについて詳細には明らかになっていません.そしてそれらの方針や考えが平面計画にどう反映されているのか,さらに居室と共同生活室の配置や関係性が居住環境・ケア環境に与える影響も子細に考察する必要があります.

 

本研究では居室と共同生活室の関係性に着目し,上記の観点から多面的な調査と分析を行い,今後の施設計画に資することを目指しています.

(眞鍋明子)